猫は暑さには強いと言われますが湿度には弱く、夏バテによる疲れが見受けられることがあります。夏バテが発生した場合、猫にどのような症状が現れるのでしょうか。また、病院へ連れて行くべきタイミングや予防法、対処法についてご紹介します。気温や湿度が上昇する時期に愛猫が食欲や活気をなくしてしまっているのは、夏バテや別の病気の兆候かもしれません。
猫の夏バテ(熱中症)予防と対処法・症状について
猫の夏バテと熱中症の違い
夏バテしている猫の症状
- 食欲が落ちる
- ごはんを食べない
- 嘔吐(おうと)や下痢をしている
- 元気がなくなる
- おしっこの量が減る
熱中症の猫の症状
- 元気がなくなる
- 口を開けて呼吸をする(開口呼吸)
- 嘔吐や下痢をしている
- 耳や肉球などが熱くなる
- ふらつく
熱中症が重度になると意識を失ったりけいれんを起こし、最悪の場合は死に至ります。しかし、夏バテは異なり、急激な体調変化はありません。むしろ、数日から数週間かけて症状が徐々に現れる傾向があります。
猫の夏バテの原因
夏バテは急激な気温変化や高温多湿な夏の環境、および自律神経の乱れによって引き起こされる体調不良の総称です。猫の場合、自律神経の乱れは主に環境の変化などの外的要因に関連しており、精神的なストレスや不規則な生活スタイルなどが原因ではありません。
自律神経は、体温を一定に保つ役割も果たしています。夏には、冷房の効いた空間と効いていない空間を頻繁に行き来することで、体温を頻繁に上げ下げする必要が生じます。その結果、自律神経が疲れ果てて乱れが生じます。
また、猫は湿度に対して敏感な傾向にあります。さらに、人間とは異なり、全身に汗をかくことができず体温を下げる能力も制限されています。そのため、日本のような高温多湿な夏の環境では猫の体はうまく適応できず、夏バテを起こしやすいのです。
猫が快適に感じる温度としては一般的には25℃前後と言われています。また、湿度は50~60%程度が理想的です。夏だけでなく、高温多湿な時期には注意が必要です。さらに、季節の変わり目や冷房を使用する日など温度の変化が激しい環境でも猫は夏バテしやすい傾向があります。
猫の夏バテの予防と対策
猫は快適な温度として25℃前後を好みます。高すぎたり低すぎたりすると猫にとって適切ではありません。また、エアコンのオン・オフによる温度変化は猫の自律神経に乱れを引き起こす可能性があります。常に室温を一定の範囲で保つようにしましょう。湿度は50~60%程度を維持することが望ましいです。
猫は暑さを感じると涼しい場所へ、寒さを感じると暖かい場所へ自発的に移動して体温調節を行います。しかし、エアコンの電源が切れてしまったり、効果がない部屋に閉じ込められたりする可能性もあります。ドアストッパーを使ったり、部屋のドアが思わぬときに閉まらないように工夫し、猫が自由に移動できる環境を整えましょう。
冷感マットやアルミプレートなど、猫専用の冷却グッズを部屋に置くのも良いアイデアです。ただし、ジェルタイプのものは猫が引っかくと穴が開き、ジェルを誤って飲み込む可能性があるので注意が必要です。引っかく癖のある猫や留守がちな場合には使用を控えたほうがいいと言えます。
猫は元々水をあまり飲まない傾向がありますので、複数の飲水場所を設置し、水の摂取を促してください。また、水が流れる給水器も好む猫がいますので、そういったグッズを用意するのも良いでしょう。もし心配な場合は、ウェットフードなど水分量の多い食事を与えることも考慮してください。ただし、ウェットフードは歯周病のリスクがあるため、与え方や頻度には注意が必要です。
夏の体力維持のために、栄養補助食品を与えることも有効です。食欲を増進する効果が期待できるものや、甘味があり好まれるものなどさまざまなタイプがありますので、猫に適したものを選んで与えましょう。
夏バテしやすい猫種と特徴
夏バテしやすい傾向にあるのは長毛種や太った猫だけでなく、短頭種や子猫、そして老猫も注意が必要です。
長毛種の猫は、元々寒冷な地域に生息していた品種です。密度の高い長い被毛は保温効果が高く、日本のような高温多湿な環境には弱いため、夏バテには特に気を配る必要があります。短頭種の猫は、体の構造上呼吸がしにくい品種です。そのため、呼吸による体温調節が苦手であり、夏バテしやすいと言えます。
太った猫は皮下脂肪が多く、体内の熱を効果的に外に逃がすことができません。そのため、夏バテには特に注意が必要です。子猫や老猫も夏バテしやすいと言えます。子猫は体温調節機能が未熟であることが要因として挙げられます。老猫の多くは体温調節機能が衰えています。これらの猫たちに対しても、夏の環境下での適切なケアと注意が重要です。
すぐに受診が必要な症状
猫は自身の体調不良を隠す本能があり、痛みや苦しみを感じてもそれを悟られないようにします。したがって、以下のような症状が見られる場合、既に夏バテが進行している可能性が高いです。
- 食欲不振
- 嘔吐や下痢の症状
- 活気がなくぐったりしている様子
- 尿量が減少している
夏バテは直ちに命に関わる病気ではないものの、放置すると脱水症状や泌尿器系の疾患を引き起こすリスクがあります。また、これらの症状は熱中症や他の病気の兆候とも関連している可能性があるため、迅速に動物病院を受診することが重要です。
猫が夏バテをしているときの対処法
おしっこの量が少なく、明らかに脱水症状を起こしている場合、水や猫用の経口補水液を与えることが重要です。ただし、嘔吐や下痢などの消化器症状も同時に見られる場合は経口補水液の摂取が逆効果となる可能性があるため、慎重に判断する必要があります。猫の状態をよく観察し、適切な対応を行うことが重要です。
猫は暑さに強い生き物ですが高温多湿な環境下では夏バテをします。室内環境に注意してあげたり、食事に気を付けてあげたりすることで予防が可能です。愛猫が夏バテになってしまわないように本格的に熱くなる前からしっかりと対策できるよう心がけましょう。